NHK板垣退助特集の間違いと指摘後のNHKの反応(令和5年8月20日)

日本放送協会御中
本日は番組『DJ日本史』で板垣退助を取り上げてくださり洵にありがとうございます。しかしながら、解説の中で2箇所明らかな誤りがありますので、謹んでご報告申し上げます。


●番組・DJ日本史
●放送日・2023年8月20日
●https://www.nhk.or.jp/radio/magazine/article/dj-nihonshi/djn20230820_03.html
(※以下原文を引用します)
【出演者】
松村邦洋さん、堀口茉純さん、川久保秀一さん



2023年8月20日(日)放送の<DJ日本史>、テーマは『先祖のプレッシャーは、きつかった』。歴史に名を残すようなエライご先祖を持つと子孫は大変。その栄光が重~くのしかかり、行いや生き方が強く縛られることだってありました。今回取り上げたのは、ご先祖のプレッシャーと格闘し続けた人々。生まれもって背負わされた期待と重圧に、後の世代はどう向き合ったのでしょうか?ご先祖の存在にとても助けられた、という人物をご紹介しましょう。取り上げるのは、明治時代、自由民権運動の指導者として活躍した政治家の板垣退助(いたがきたいすけ)です。この板垣退助、もともとは土佐藩の武士でした。明治維新を成し遂げた主力は薩長土肥の4つの藩でしたが、その1つ土佐藩の兵を率いて板垣は戦いました。戊辰(ぼしん)戦争では板垣は京都を出て東に進軍し、旧幕府側の重要拠点である山梨県甲府を目指します。このとき山梨で戦うことになったのが、あの新選組の近藤勇率いる部隊でした。板垣は泣く子も黙る近藤勇との戦いを有利に運ぼうと策をめぐらしますが、その1つが、ご先祖様の力に頼ること、でした。
板垣退助、もともとの名は、乾(いぬい)退助と言いました。しかし、近藤との戦いを前に、名を「乾」から「板垣」に変えます。理由は、ご先祖様の力を借りるため。実は板垣退助の先祖は、あの武田信玄の教育係も務めた名将、板垣信方(いたがきのぶかた)でした。



武田家の滅亡後、板垣信方の子孫は流れ流れて四国にたどりつき、姓を「板垣」から「乾」に変えて土佐藩に仕えたのですが、その12代後の子孫が板垣退助だったのです。そんな退助、戦国時代は武田信玄のお膝元だった甲府に到着するや、げきをとばします。「新政府軍を率いる板垣退助は、あの信玄公に仕えた板垣信方の末えいである。武田家への思いは皆と同じ。今こそ信玄公のみ霊に誓って、志を一つにしようではないか!」
すると、住民たちは続々と呼びかけに反応。武田家が滅んで300年近くたってもなお、山梨では信玄を慕う気風が強く残っていたのです。中には、自分は武田家家臣の末えいであると、先祖代々の由緒書を差し出して新政府軍に志願する人もいました。こうして、新政府軍は勝利。ご先祖の威光は、板垣退助の戦いに大いに役立つことになったのでした。


上記に関し明らかに【間違っている箇所】を解説していきます。
1)「板垣は泣く子も黙る近藤勇との戦いを有利に運ぼうと策をめぐらしますが…

当時は「新選組」とも名乗っておらず(※「甲陽鎮撫隊」の名称も当時は使われておらず回顧録などを基にする後付けとの説がある)単に「幕臣の大久保剛」と名乗っており、板垣らは【誰と戦っているのか敵の大将の正体を知りません】でした。甲州勝沼で合戦し、その後、近藤らは壊滅して敗走しますが、下総流山で近藤勇が出頭後、彦根藩士・渡辺九郎左衛門に正体を見破られ、さらに板橋にある総督府へ護送された後、総督府で元御陵衛士・加納鷲雄と清原清が面通しをして正体が確定しました。ゆえに「泣く子も黙る近藤勇との戦いを有利に運ぼうと策をめぐら」すという説明はおかしい。誤りです。

2)「板垣信方の子孫は流れ流れて四国にたどりつき、姓を「板垣」から「乾」に変えて土佐藩に仕えた」板垣家の先祖、板垣加兵衛正信が、山内一豊に仕えたのは【天正18年(1590)10月7日で、遠州掛川藩(現・静岡県)の時代】です。その10年後に関ヶ原の戦いがあり、徳川方が勝利した結果、土佐へ転封となり、土佐へ来た訳であって、【土佐藩の時代になって土佐に来て召抱えられたのではありません

以上、よく間違えられやすい点ですので、間違いの連鎖を失くすために、訂正をよろしくお願い申し上げます

我々は過去にも、NHKさまを初め、民放各社、新聞社、雑誌社へも板垣退助に関しての時代考証・歴史検証なども協力して参りました。御質問があれば、どうぞお寄せ下さい。

なお、末筆ながら今後ともよりよい番組を、放送していただけることを願っております。


(追記)
令和5年8月29日22:08、NHK宛てに間違っている旨をFAXし、9月2日15時23分、同上内容を電話でもお伝えしました。電話対応は櫻井氏(女性)の後、その上席・大西氏(男性)が対応されFAXが届いている旨は承知しているが、

●NHK側から今後の対応内容については返答する義務は無い。
●名前は、名字のみで下の名前は答えない。(所属部署なども答える筋合は無い)

とするものでした。
(コールセンターが外部委託が一般的な今日であっても「この態度は無い」と思いました)
誠実さとは程遠い物腰で、間違いを指摘したら「逆ギレ」って如何なものでしょうか?
現在9月13日の時点で、NHKのホームページは一切変更されておらず、間違いのまま訂正せず圧し切ろうとする態度が感じられます。
※後世の人々に目安となるようこちらに記載しておきます。


前へ次へ
投稿日:2023/08/20

お問い合わせはこちら